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高齢化が招く2030年問題とは? 運送業界への影響も紹介
「2024年問題」は、ここ数年の物流業界における大きなトピックでした。業界をあげてさまざまな対策をおこない、そのなかには実際に成果をあげているものもありますが、多くの事業者は依然としてドライバー不足や輸送力の低下といった問題に苦慮しているのが現実です。
そんななか、新たに対策が必要な問題として注目を集めているのが「2030年問題」です。本記事では、2030年問題の概要や、物流業界への影響などについて解説します。

2030年問題とは、少子高齢化の進行により、さまざまな業界で労働人口が不足する現象を指します。
内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、令和4年の時点で日本の人口における高齢者(65歳以上)の割合は29%となっており、今後もほぼ確実に増え続ける見通しです。2030年には、総人口の1/3を高齢者が占めるとされています。
一般的に、動労人口が減れば経済成長は鈍化していきます。そうなれば労働者の収入はなかなか増えません。一方で高齢者が増えれば社会保障の負担が増え、現役世代には苦しい状況が続くでしょう。
2030年問題の対策としては、デジタル化の推進や、労働環境の見直し、高齢人材の活用などが考えられます。少子高齢化に歯止めがかからないなか、限られた労働人口をいかに効率的に活かしていくかが問われています。
かねてからドライバー不足が課題となっていた物流業界も、2030年問題の影響がとくに懸念される業界の一つです。
ECサイトの普及によって宅配便の数が急増し、需要事態は増え続けている状態ですが、それを運ぶドライバーの人数が足りていない状況が続いています。さらに、2024年4月には時間外労働に年間960時間の上限が設けられたことで、ドライバー不足に拍車がかかりました。(2024年問題)
こういった状況に加えて、少子高齢化にともなう2030年問題がのしかかります。トラックドライバーは50~64歳が全体の40%近くを占め、全産業の平均を約9%上回っています。一方で29歳以下の割合は全産業の平均よりも6%低くなっており、中年層が多く若年層が少ない年齢構成です。現在業界の中核を担っている中年層が定年を迎えることで、他の業界よりも一層深刻な人手不足となるおそれがあります。
国の試算によると、このまま対策が行われなかった場合、2030年には34%の荷物が運べなくなるとされています。これは物流業界だけの問題ではなく、社会のインフラを脅かす事態だといえるでしょう。
このような状況で、人手不足を少しでも解消し、物流のインフラやドライバーの生活を守っていきためには、デジタル化の推進や物流の効率化、若手人材確保に向けた取り組みなど、2024年問題対策として行なってきた施策を継続しつつ、さらに発展させていくことが不可欠です。
2030年問題の概要や、物流業界への影響などについて解説しました。2030年問題とは少子高齢化による人手不足や、それに付随するさまざまな問題を指します。
とくに物流業界においては、もともと人手不足が深刻だったことや、業界全体の平均年齢が他の業種に比べて高いことなどもあいまって、2030年問題によって受ける影響も大きいものと考えられています。
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