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トラックドライバーの約1割に視野障害 国土交通省が調査
2024年6月1日、NHKは、国土交通省がバスやトラックなどのドライバーを対象に実施した眼科検診について報じました。報道によると、検診をうけたドライバーの2300人のうち約1割に、緑内障など視野に影響のでる病気、もしくはその疑いがあると診断されたとされています。
国土交通省は、以前より運送業界対して、視野障害による運転リスク
の周知や、眼科検診の受診や適切な治療の促進を行なっています。そこで本記事では、2022年3月に国土交通省が策定した「自動車運送事業者における視野障害対策マニュアル」の内容を参考に、トラックドライバーの視野障害対策について紹介します。

視野障害とは、視野が狭くなったり、視野の一部が駆ける症状のことを指します。視野障害の特徴のひとつに、早期発見の難しさがあります。片方の目に視野障害があっても、もう片方の目や脳の視中枢が欠けた視野を補おうとするため、初期の頃には自覚症状が出にくく、発覚したときにはかなり症状が進行していたというケースが少なくないのです。
視野障害があるにもかかわらず、自覚できずに運転を続けた場合、進行方向にいる歩行者や信号機、道路標識などを見落とす事態を招き、重大事故に繋がりかねません。
そのため、適切に眼科検診を受診し、視野障害がある場合は早期に発見することが重要です。
視野障害の主な原因となる疾患は、いちど進行してしまえば、もと通りに治すことできないものも少なくありません。しかし、早期に発見し、適切な治療を継続することで、進行を遅らせ、ドライバーとして働ける期間を伸ばすことができるケースも多いです。
ここでは、視野障害を早期発見するための対策として、事業所で実施できる簡易的な検査(簡易スクリーニング検査)を3点紹介します。なお、ここで紹介する方法は、いずれもドライバーに眼科検診の受診を促すためのツールとして用いられます。
- ● クロックチャート
- ● タブレット型視野計
- ● チェックリスト
一つずつ紹介します。
クロックチャート円形のクロックチャートを回転させながら、そこに描かれている4つの図が見え続けているか、途中で抜け落ちることがないかを確認するチェック方法です。手軽に利用することが可能なスクリーニングツールです。
タブレット型視野計10インチタブレットを用いて検査を行います。はじめての人でも一人で実施できるよう、操作説明がついています。
チェックリストチェックリストを用いてるクリーニングする方法です。
以下の項目のうち1つでも該当する場合は眼科検診を受診する必要があります。
- ● 強度の近視である
- ● 暗いところでは見えづらい
- ● 家族に緑内障の人がいる
- ● 家族に網膜色素変性症の人がいる
- ● 糖尿病と診断された
もしくは、以下の項目のうち2つ以上が該当する場合も、眼科検診を受診してください。
- ● 40歳以上である
- ● 喫煙している
- ● 健診等で高血圧を指摘された
- ● 健診等で脂質異常を指摘された
視野障害を早期発見する重要性と、事業所で実施できる簡易スクリーニング検査について紹介しました。視野障害は進行するまで自覚しにくいうえに、重大事故の原因になり得る症状です。事故を予防するためにも、ドライバーの健康のためにも、まずは簡易スクリーニング検査を実施し、心配がある場合は眼科検診を受診してください。
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