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睡眠時無呼吸症候群、全日本トラック協会は全ドライバーの検査を推奨 助成事業も

健康起因事故のリスクを跳ね上げる睡眠時無呼吸症候群(以下:SAS)。
全日本トラック協会、各都道府県トラック協会では、SASスクリーニング検査の助成事業を実施しています。

無自覚のまま運転することが最も危険

SASは、睡眠中に頻繁に呼吸が止まったり、止まりかけたりする状態(睡眠呼吸障害)が繰り返されるために、質の良い睡眠が取れず、日中に強い眠気や疲労などの自覚症状を伴う病気です。

SAS患者は、居眠り運転を起こすリスクが非常に高いほか、治療せずに放置すると、高血圧・狭心症・心筋梗塞・脳梗塞など、命に関わる合併症を引き起こすおそれもあります。これらの疾病は、運転中の突然死にも繋がる健康起因事故の主たる原因でもあります。SASの治療や早期発見は、健康起因事故を減らしていく上で非常に重要です。

SASは簡単なスクリーニング検査で診断することが出来ます。またSASと診断された場合も、ドライバー生命が経たれるようなことはありません。適切な治療を行うことで健康なひとと同じように安全運転を続けることが出来ます。最も危険なのは、SASであることに気づかないまま運転業務を続けてしまうことです。

助成事業を利用し全従業員のSASスクリーニング検査を

全日本トラック協会では、運送事業者に対し、すべてのドライバーに対するSASスクリーニング検査の実施を推奨しています。

しかし国土交通省が行った調査によると、令和2年の時点で、従業員にSASスクリーニング検査を受けさせている運送事業者はわずか31%にとどまっていました。

全日本トラック協会や、各都道府県トラック協会では、SASスクリーニング検査の助成事業を実施しています。運送事業者は助成を活用し、全従業員に検査を受けさせましょう。検査の頻度は3年に1度が目安。雇入れ時はもちろん、職種変更や体重の急増があった場合にも検査を受けることが勧められています。

SASスクリーニング検査受診までの流れ

全日本トラック協会や、各都道府県トラック協会の助成を受け、SASスクリーニング検査を受けるための手順は以下の通りです。

▽1.問い合わせ

助成を受けることができるか、所属している都道府県トラック協会に確認します。

▽2.検査事前申込書の提出

確認が取れたら、「【様式1-1】スクリーニング検査事前申込書」を、所属している都道府県トラック協会に提出します。「【様式1-1】スクリーニング検査事前申込書」は各都道府県のトラック協会ホームページよりダウンロードすることができます。

▽3.検査の予約と確認

申込書が受理されたら、【様式1-1】で記入した、申込みをする「検査・医療機関」に検査の予約を入れます。

▽4.検査申込書兼委任状の提出

予約確認後、「【様式1-2】スクリーニング検査申込書兼委任状」に必要事項を記入し、正本を検査・医療機関に提出します。

▽5.検査費用の支払い

検査費用を検査・医療機関に支払います(前払いの場合)。

▽6.検査開始

費用の支払いの確認後、検査・医療機関より、スクリーニング検査に必要な機器や書類が届きます。

文/BUY THE WAY lnc.

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