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女性ドライバーを雇用するメリットとは?
運送業界か直面している大きな課題がドライバー不足。
その解決に向け、国や全日本トラック協会、各事業者は幾つかの取り組みを行っていますが、その中のひとつが2014年に国土交通省の主導ではじまった「トラガール推進プロジェクト」。これまで男性の職場とみなされてきた運送業界で、女性ドライバーにも活躍してもらい、ドライバー不足を解消しようという取り組みです。
本記事では、全日本トラック協会が2017年3月に行った調査結果を参考に、女性ドライバーを雇用するメリットや、採用した女性ドライバーが定着するためのノウハウなどについて、紹介していきます。
(参考URL:http://www.jta.or.jp/seinen/pdf/20170725joseikoyou.pdf )

2017年の時点で、女性ドライバーを「現在雇用している」と答えた事業者は38.3%。「現在は雇用していないが過去に雇用していた」と答えた事業者は32.8%でした。事業者全体の約7割が、女性ドライバーを雇用したことがあると回答しています。
今後の女性ドライバーの雇用意欲について。「雇用したい」と答えたのは、「現在雇用している」事業者で約8割、「現在は雇用していないが過去に雇用していた」事業者で7割、「雇用したことがない」事業者でも6割と、業界全体としての雇用意欲は高めであることが分かります。
採用した女性ドライバーが定着傾向にある事業者に対して、女性ドライバーを雇用するメリットを訊いたところ、「コミュニケーションの円滑化による社内雰囲気の改善」と回答した事業者が56.8%いました。女性がいることで、男性だけの職場よりも雰囲気が良くなると、多くの事業者が実感しているようです。
次いで多かったのが、「企業イメージの改善」の46.7%、「取引先からの高評価」の45.7%でした。女性ドライバーが定着することによって、社外からの評価も向上することが数値に現れています。
また「トラガール推進プロジェクト」の当初の目的である、「人材不足の解消」を挙げている事業者も45.2%と多くありました。
ただし1点、注意したいことがあります。これらのメリットを最大限に享受するためには、雇用したドライバーを定着させることが重要だということです。女性ドライバーが定着しない傾向の事業者の場合、これらのメリットを感じられているのは半数程度にとどまっていました。
ただ採用するだけでなく、女性が定着しやすい環境を整備することが大切です。
女性ドライバーが定着している事業者と、そうでない事業者では何が違うのでしょうか?
女性ドライバーが定着傾向にある事業者に対して、定着に向けて行っている取り組みを訊いたところ、「男女差別ない人事評価、賃金制度」がもっとも多く、71.4%でした。
次いで多かったのは、「柔軟な休暇取得に関する対応」の41.2%、「職場全体での女性活躍に係る理解の促進」の36.7%、「育児休業、短時間勤務等働きやすい勤務体系」の29.1%、「女性専用トイレ等職場環境の整備」の24.1%などです。
一方、定着しない傾向にある事業者では、約半数に当たる53.0%が「何もしてない」と回答しています。定着する傾向にある事業者で「何もしていない」という回答はわずか1%でした。
このことから、定着に向けた取り組みを何もしなければ女性ドライバーが定着することはなく、逆にきちんと取り組みを行えば、定着率は大きく上がるということが分かります。
文/BUY THE WAY lnc.
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