> > 全ト協、健康起因事故防止の徹底を求める 新東名高速での事故を受け

ドライブワーク通信

全ト協、健康起因事故防止の徹底を求める 新東名高速での事故を受け

令和4年12月4日、浜松市の新東名高速道路にて、高速バスが前方車両に追突し、9名が負傷する事故が発生しました。この事故の背景としては、高速バスの運転手が、運転中の体調不良を報告せず、運転を継続した事実が明らかになっています。

この事故を受け全日本トラック協会(全ト協)では、12月9日、各トラック協会に向けて「運転者が体調不良等を生じた場合における適切な運行管理の徹底について」と題した文章を発表。事故の発生について「大変遺憾です」とした上で、再発防止に向け、運転者の体調不良に対する適切な運行管理の徹底を求めました。
運転者の体調不良に対する適切な反応

運転者が体調不良等を生じた際の適切な対応として、次の3項目を挙げています。

1.運転者は、運行中に体調不良等を生じた場合には、周囲の安全に配慮しつつ直ちに車両を安全な場所に停車し、運行管理者に報告し、行管理者に報告し、指示を受けること。

2.運行管理者は、運転者の日常の健康状態の確認を行うことはもとより、運転者から体調不良等の報告があった場合には、速やかに状況把握を行い、運転者に対し適切な指示を行うとともに、交替運転者を手配する等運行管理を適切に行うこと。

3.自動車運送事業者は、定期健康診断の実施はもとより、国土交通省の「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」等も活用して運転者の健康状態の把握に努めるとともに、日頃からコミュニケーションを図ることにより、運転者が、自身の健康状態等について、運行中も含め気軽に相談・申告できる職場環境づくりに努める こと。

引用元:https://jta.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/jta20221209kanri.pdf

健康起因事故の報告件数の推移

国土交通省が公表する資料「運転者の健康状態に起因する事故報告件数の推移」によると、運転手の健康状態によって運転が継続できなくなった事案の報告件数は、平成25年から令和元年までの6年間で、135件から327件に増加しています。また令和元年においては、報告件数327件のうち、約7割にあたる238件が、衝突・接触などの事故に至りませんでした。また報告件数が増加している背景として国土交通省は、健康起因事故に対する事業者の意識の高まりがあるとしています。

ただしトラックについては、令和元年時点での報告件数77件に対して、半数を超える43件が、接触・衝突を伴う事故に発展しています。

健康起因事故の防止に向けた取り組み

国土交通省は資料「運転者の健康状態に起因する事故報告件数の推移」の中で、「専業用自動車運転者の健康管理に関する主な取り組み」として、次の4項目を紹介しています。

・人間ドック

・SAS(睡眠時無呼吸症候群)に関する検査

・脳検診

・心臓疾患に関する検査

トラックドライバーの健康状態の管理は、ドライバー自身だけでなく、事故の防止という観点からも非常に重要です。健康起因事故を1件でも少なくするために、事業所全体、業界全体でのより確実な対応が必要です。

文/BUY THE WAY lnc.

ドライブワーク通信バックナンバー
  • 国外採用と国内採用の違い
    外国人ドライバーの採用には、国内採用と国外採用の2種類があり、それぞれに特色があり、メリット、デメリットが存在する。今回はそれぞれの特徴や違いについて紹介する。
  • 特定技能外国人が日本に来るまで
    現在の日本では、ドライバーの人手不足問題に直面している。 最近では特定技能外国人のドライバーでの活躍が期待されている。 特定技能外国人はどのような教育や手配を経て日本に来日するのか。
  • 外国人ドライバー受入制度の新設
    外国人ドライバー受入制度の新設
  • 東大IPCがロボトラックに出資 2024年問題の早期解決を目指す
    東京大学共創プラットフォーム株式会社(以下:東大IPC)が運営するオープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合(以下:AOI1号ファンド)は、株式会社ロボトラック(以下:ロボトラック)への1.5億円の出資を決定しました。ロボトラックは、自動運転大型トラックソリューションを開発する企業です。
  • 新物流効率化法について解説 令和7年4月1日より施行
    令和7年4月1日より、「新物流効率化法」が施行されました。これは従来の「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」を基に、名称と内容が改正されたものです。

ドライブワーク通信一覧へ

Copyright (c) Az staff Inc. All Right Reserved.