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ドラレコ×Eラーニングで目指す「交通事故ゼロへの取組み」

令和3年12月1日より、関西低温株式会社と、株式会社キャブステーションは、ドライブレコーダーとeラーニングシステムを連携させた新たな安全管理の取組みを開始しました。

関西低温は奈良県に本社を置く運送会社。今回の取り組みでは、同社のトラック全車が装着するドライブレコーダーの記録映像を、キャブステーションが開発したeラーニングシステム「グッドラーニング!」に取り込むことで教材化しました。これを全ドライバーに共有し、安全運転教育に活用することで、事故の防止につなげます。

ネガティブ報告の徹底

関西低温では、これまでも全ドライバーに対して「どんなに小さなヒヤリハットでも必ず会社に報告すること」を徹底してきました。

ヒヤリハットとは、重大事故には至らなかったものの、それに直結してもおかしくない一歩手前の出来事を指します。これはどんなに気を付けて運転をしていても、誰にでも起こりうる体験です。

一般的に、ヒヤリハット体験はネガティブな情報とされ、積極的に会社に報告するドライバーは多くありません。しかし関西低温は、ヒヤリハットの報告を「安全運転への気付きとプロとしての意識の高さ」とし、会社への報告を推奨してきました。

「起きてしまったヒヤリハットを次回起こさないために何をするか」を、もっとも重要なことと位置づけているのです。

個人の体験で終わらせない

ヒヤリハット体験が起こると、ドライバーと管理者は原因の分析を行い、同様の事例を未然に防ぐための対策を協議します。ですがこのとき、当該のヒヤリハット体験に対する危機感が他のドライバーにも共有されなければ、どれだけ対策を立てたところで、それを徹底することが難しくなります。

そこで関西低温では、ドライバーから報告のあったヒヤリハット体験を中心に、膨大なドラレコ映像をデータとして保存し、安全教育のための教材として役立ててきました。視覚・聴覚に対して強く訴えるドラレコの映像には、他人の運転であっても、自分が体験したかのように「疑似体験」させるちからを持っています。ひとりのヒヤリハット体験を全ドライバーが共有することで、安全運転への意識を高める狙いがあります。

データ共有の課題

ドラレコ映像の共有を行うに当たり、関西低温が直面したのはデータ共有の難しさでした。

当初、ドラレコ映像は事務所のパソコンに保存されていました。しかしドライバーは昼夜問わず全国を走り回っていたため、事務所のパソコンを逐一チェックすることは現実的ではありません。メールに添付する方法はサーバーへの負荷が大きく、クラウドの利用は操作が複雑な上に閲覧状況などを管理できない等の課題がありました。

そこで白羽の矢が立ったのが、キャブステーションのeラーニング型学習システム「グッドラーニング!」でした。

eラーニング型学習システム「グッドラーニング!」

グッドラーニングは、ドライバー教育のために開発されたeラーニングシステム。パソコン上のドラレコ映像データを指定の場所にドラッグするだけで、システムに取り込み、全国にるドライバーのスマホから視聴可能な状態にすることができます。

映像を見せるだけでなく、ドライバーに映像の背景を考えてもらうような質問を投げかけたり、個別にコメントを収集することも可能。管理者の側から映像に解説を入れることもでき、学習教材として踏み込んだ内容をドライバーに届けることができます。

関西低温 木谷村業務統括部長のコメント

関西低温・木谷村業務統括部長は、グッドラーニングの導入に際して以下のようなコメントを残しています。

"私たちは本社のある奈良県のほか埼玉県にも営業所がありますので、グッドラーニング!で全員がドラレコ映像を簡単に共有できるようになったことはとても大きな意味があります。
安全運転に必要なことは技量ではありません。安全意識を持つことです。
しかしその安全意識も危険に対する知識と経験がなければ身につけることが出来ませんし、意識を持つことができなければ防衛運転をすることができません。
個人の体験から全員が学び、プロとして高い意識を持つことで、輸送の安全に貢献していきたいと思います。"

文/BUY THE WAY lnc.

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