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アイドリングストップとトラックとの関係性について
アイドリングストップとは、駐車場や信号待ちの時間に車のエンジンを停止させ、不要なアイドリングを行わないことを指します。地球温暖化の原因となる二酸化炭素(Co2)や、有害な窒素酸化物(NOx)などの削減に繋がることから、国や地方自治体はアイドリングストップの推進を行っています。

アイドリングストップ中はエンジンが止まっている状態ですから、燃費の削減にも繋がります。一般財団法人省エネルギーセンターの調査によると、エンジン始動時の燃料消費量はアイドリングを5秒間行った場合と同じなので、5秒以上停車する場合はアイドリングストップを行った方が燃費が安く済みます。正しく行った場合は、約14%もの燃費を削減することが出来ます。
トラックに搭載されているディーゼルエンジンは、普通乗用車に搭載されているガソリンエンジンと比較すると、二酸化炭素(Co2)の排出量こそ少なく済みますが、一方で窒素酸化物(NOx)を多く排出します。NOxはは光化学スモッグや酸性雨などの大気汚染の他、オゾン層の破壊の原因にもなっており、温室効果もCo2以上と、非常に有害です。
また人体に対して与える影響も大きく、粘膜を痛める原因になる他、気管支炎などの症状を引き起こすこともあります。自動車から排出されるNOxのうち、約8割がディーゼル車から排出されています。トラックドライバーが率先してアイドリングストップを行うことはNOxを減らす上でたいへん重要です。
環境的にも経済的にもメリットの大きいアイドリングストップですが、デメリットもあります。
車内のエアコンはエンジンによって稼働しているので、アイドリングストップを行っている最中にはエアコンを使用することが出来なくなるのです。いくら環境と燃費のためとはいえ、夏の暑さや冬の寒さを我慢することは難しいですよね。特に猛暑の中で荷待ちを行ったり、真冬の夜に車中泊を行うことも多いトラックドライバーにとっては、エアコンを切って休憩や睡眠の質を下げることは事故にも繋がりかねず、文字通り死活問題です。
アイドリングストップにはデメリットもありますが、それを解消するための製品やサービスも登場しています。
*エアヒーター:エンジンを稼働させることなく、少量の燃料で車内を暖める事が出来る暖房機器です。Co2やNOxを含む排気ガスの量は、アイドリングを行って暖房を使用した場合の10分の1程度まで抑えることが出来ます。
*車載バッテリー式冷房装置:エンジンではなくバッテリーによって稼働する冷房機器です。夏の猛暑日の日中であっても、車内温度を25度に保った状態で6時間以上稼働することが出来ます。
*給電スタンド:給電スタンドはトラックステーションやガソリンスタンド、高速道路のサービスエリアなどに設置されており、専用の冷暖房装置を購入した上で所定の手続きを取れば使用することが出来ます。
これらの製品やサービスを使用すれば、Co2やNOxの削減に繋がるだけではなく、車中泊にはつきものだったエンジン音にも煩わされることなく冷暖房を使用できるため、ドライバーの方々もより快適な休憩や睡眠を取ることが出来ます。またアイドリングストップ支援機器の導入には、全日本トラック協会より補助金が設けられています。

文/BUY THE WAY lnc.
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